お久しぶりの記事になりました。
私はフィンランド在住フリーランスでオンライン日本語教師&デザイナーとして個人で活動しています。
日本語教師になってからは本当にいろいろな人に出会って、いろいろなことを教えましたし、教わりました。今日は私が今日までの丸2年の教師生活で「日本語教師になってよかったな」と思うことについてまとめていきたいと思います!!!
言語が身につく
媒体語で教えることが多い
日本にある日本語学校で教えていると、大体は日本語で日本語を教える直接法で、グループへ教えるティーチングスタイルです。
それとは反対に、オンラインで教える際は個人ベースで主に英語で日本語を間接的に教えます。これを間接法といいます。
日本語教師養成講座は主に初級文法を日本語学校で教えられる教師の養成が目的なので、日本語学校と同じように直接法での教授法を学びます。
私の場合は初級の生徒さんには今のところ99%英語で日本語を教えています。
最初の方は英語で教えてと言ってくる生徒さんがほとんどです。
そして、個人レッスンならではですが、いつでも気軽に質問できるので、みなさん英語で質問してきます。
このことからも英語力は日本語を教え始めて格段に上がっています!
私はもともと英語を話せないわけではありませんでしたし、あまり英語圏出身の英語ネイティブの生徒さんと言語の壁を日常会話で感じることはほぼほぼありませんでした。
ですが、日本語を英語で教えるとなると、なかなか難しい専門的なことを英語で説明する必要もあります。
例えば、日本語で多い「活用」。
「活用」は英語で「conjugation」ですね。
オンライン日本語教師を始めた当時、私はこの単語を知りませんでした(お恥ずかしい…)
ある程度英語を話せますけど、単語力がないんです(笑)
そんな言い訳はさておき、オンライン日本語では日本語を英語で教えるということで、このほかにも文法で必要な用語や例えば助詞(particles)は多くの初級学習者が苦手としているので、普段のレッスンで非常によく使う英単語の一つです。
日本語教師養成講座
学習者の言語の基礎的なことを知ることができる
私の生徒さんの中には英語が母語ではない学習者さんが英語で日本語を学習しているという人も多いです。
その場合は私にとっても第2言語、学習者さんにとっても第2言語で日本語を学習することとなります。
英語と日本語は言語間距離的にみるとかなりかけ離れている言語だそうで、英語にはないけど、日本語にはある言葉、またはその逆がたくさん存在します。
言語間距離はこちらの記事上で「日本語」と「英語」が言語学的に歴史的にetc. どのくらい違うかということです。
この画像で見る限り、英語と日本語はかなり離れていることがわかりますね。
私が学習中のフィンランド語は日本語にも英語にも近くない言語..(笑)頑張ります(笑)
ここでは私が最近体験したドイツ人の生徒さんとの会話であった出来事についてシェアしたいと思います。
ドイツ人の生徒さんは母国語はもちろんドイツ語で、英語が第2言語、日本語が第3言語です。
日本語を勉強している中で、最近文末の「ね」がドイツ語と全く同じということに気付いたということを話してくれました。
ドイツ語でも「また明日ね」の「ね」のような使い方で「ね」を使うそうです。
発音も同じだそうです。
ときどき、英語圏の学習者さんは少しこの「ね」について戸惑う方がいます。
確かに、英語には語尾に特に意味のない何かを付けるということがそうそうありませんし、難しいのかもしれません。英語と使ってこれを教えるのは確かに少し難しいときもあります。
このほかにも、特に英語を第一言語としない生徒さんとの間では新しい文法、知らない言語の基礎的な知識を共有してもらえることもあって、とても興味深いです。
視野が広がる
いろいろなバックグラウンドがある生徒さんたち
これは本当に大きいです。
出身地、居住地、さまざまな仕事、年齢、国籍の人たちが私のレッスンを受けてくれています。
毎日いろいろな人と会話をするということで本当にさまざまな視点からものごとを考えることができて本当に日々驚きと楽しさでいっぱいです。
国籍もさまざまです。
私がフィンランド在住なので、生徒さんはヨーロッパ在住の人が多いです。
・イギリス
・スコットランド
・ドイツ
・スイス
・フィンランド
・スウェーデン
・デンマーク
・ブラジル
・アメリカ
・フランス
・タイ
・会社員
・エンジニア
・ゲームプログラマー
・医者
・電気技師
・グラフィックデザイナー
・教師
・牧師
学習者目線からの日本語
日本語を教えていると、日々たくさんの発見があります。
学習者には私たち日本語のネイティブスピーカーにはわからないような疑問点がたくさんあることをこの仕事を通じて学びました。
なかなか一人で解決できないので、先生を探したという生徒さんもたくさんいらっしゃいます。
漢字などは特に非漢字圏の学習者からすると学習すればするほどどんどん面白くなってくるようです。
例えば、私たちも小学生のころに漢字は象形文字から来ているものもあると習いましたが、彼らは象形文字を超えて(笑)たくさん独創的な発想をもって漢字を覚える努力をしています。
それが、中級になればさらに面白くなってくることだそうです。
1つの漢字にストーリーを付けて覚えている生徒さんもいます。とても興味深いです。
日本語教師になる前に漢字をパーツごとに考えたことがなかった私にとってはとてもおもしろい発想がたくさんあって、おもしろいです。
新しい考え方
中級・上級の生徒さんとはよく世間話をしながら会話の中から新しい表現や単語を学んでもらうことにしています。
もちろん、中級文法について指導するときもありますが、大半がフリートークです。
例えば生徒さんの居住国の文化のことや、コロナウイルスのことや世界的なニュース、日本のニュースを一緒に見ることもあります。
違う視点から考えたり、経験豊富な生徒さんもたくさんいらっしゃるので、私はいつも勉強になっています。
あとは、生徒さんがどのように日本語やほかの言語を習得したのか、プライベートのことなどもよく話します。かれこれ2年間私のレッスンを続けて受講してくださっている人もちらほらいるので、その人たちとは友達のようによく話をします。
もちろん、間違っている文法や言葉は直しますし、新しいであろう単語の紹介も毎回のレッスン欠かさず行って、少しでもレッスンで収穫があったと思ってもらえるようにしています。
中には子育て中の人、最近妊娠発覚した生徒さん、会社経営をしている人、投資に詳しい人などなど本当に私が知らない分野で活躍されている人もたくさんいます。
10人と同じ話題を話しても、10人それぞれ少しずつ違った意見が返ってきます。
それが本当にこの仕事のおもしろいところだと思います。
自分の語学学習の意欲が上がる
目標をもって取り組んでいる
生徒さんは社会人の人がほとんどなので、限られた学習時間の中で日本語学習に励んでいる人たちがほとんどです。
例えば、医者の生徒さんはイギリスでコロナが大流行した時にコロナ病棟で働いていました。
そんな時でもやはり少し不定期にはなりますが、1カ月に2,3回は必ず私のレッスンを受講してくれていました。
レッスンが受講できないときも、通勤の時に漢字をお勉強したり、昼休みには日本のニュースを見てリスニング練習したりしていたそうです。
仕事がなかったら、1日中日本語の勉強に費やしたい。と言っていました。
電車の中でレッスンを本当はしたいけど、なかなかできないからライティングのレッスンでスマホで日本語をタイピングする練習をレッスン中にしたこともありました。
私は1日7時間働いただけでくたくたでなかなかフィンランド語の練習ができないときもあるんですが、私の生徒さんたちの学習意欲を見習って、頑張ろう!と思えることも多々あります。
私は日本語を教えているだけではなく、生徒さんからたくさんのことを教えてもらっています。
年齢は関係ない
これはオンラインの話ではないのですが、フィンランドの現地コミュニケーションカレッジで代役として日本語を教えた時に感じたことです。
言語の学習は早ければ早いほど習得が早くなると言われていますね。
私が受けもった生徒さんの中には65歳で退職した後に日本語を習い始めたおじさんがいました。
そのほかにも孫がいる人はクラスにあと2人いました。
小さい町なので、日本人がいるとわかってとても嬉しがってくれました。
彼らの学習ペースは決して早くありませんし、私のレッスン中に同じようなところで何度もミスをしていましたが、それでも学習をするということが素晴らしいと思いました。
学習の仕方のヒントがたくさんある
私はフィンランド語学習者としてプライベートレッスンを受講したり、独学で勉強したりしています。
日々、仕事で日本語を学習している人たちの進捗状況を聞くと、本当に多様な学習方法があるんだなと実感します。
もちろん、教科書を使う
ゲームで
マンガで(よつばと!とふらいんぐうぃっちが人気です。)
アニメで(ぺパピッグとかカードキャプターさくらが人気です。)
日本の映画で
YouTubeで
小説で
などなど、今や世界を誇るといっても過言ではない日本のアニメやマンガを使って楽しく日本語を学習する人がたくさんいますね。
その中でも私が真似したいなと思ったのが、
電子書籍で小説を読むことです!
それがなぜかというと、辞書を引く手間が一気になくなるからです。
私はなかなかPCで本を読めない人なので、タブレットを使って、わからないところをタップしてすぐ意味を調べられるのは紙書籍派の私にはない発想でした。
学習用に電子書籍を使ってフィンランド語の本を読んでいますが、やはり私は紙の本を読む方が断然好きです(笑)
他には好きな日本人のYouTubeチャンネルの字幕をダウンロードして、それを細かく私と文法や使い方について勉強するということを提案してくれた生徒もいます。
確かに、ニュースなどでは堅苦しすぎて日常会話では使わな表現もたくさんあるので、「生きた日本語」を学ぶのには最適かもしれません。
個人レッスンでは生徒さんの要望に応えられるので、私はとても好きです!
社交性が身につく
聞き上手になる
1日に何人もの生徒さんと話していると、やはりコミュニケーションスキルは上がったと感じることもあります。
中には初めて日本人と話す人もいます。
先生が人生で初めて話す日本人というパターンは実はオンラインレッスンではよくあることなんです。
もちろん、初めての日本人、初めてのレッスンで緊張している人がほとんどです。
そのような人たちにどのようにしてたくさん話してもらうのかが日本語教師にとっては大切だと感じています。
よくありがちなのが、先生が頑張りすぎてしまって、生徒さんがほとんど発言できないことです、
これは私は本当に気を付けるようにしていますが、とても難しいことです。
おしゃべり上手=コミュニケーションスキルが高いということではないような気がしています。
どのように生徒さんが率先して沢山話してくれるのかがとても大事なように感じています。
もちろん、先生のパーソナルな部分まで共有してもいいですし(家族とか友達のこととか)、最近何があったとかそのような会話でも何でもいいです。
ですが、生徒さんが発言してなんぼです。
私はこうなんだけど、○○(生徒)さんはどう?など、発言権の割合を生徒さん多めにすると信頼してもらえるし、それでうまく話せると生徒さんの自信にもつながるし、一石二鳥です!
このようなことを意識していると自然と聞き上手になり、それが私生活でも友達や家族との会話で活きているような気がします!
頭の回転が速くなる
臨機応変な対応が必要
教案を作るときに、いつも私はプランA、B、Cくらいまでぼんやりと考えるようにしています。
例えば、助詞があまり定着していない生徒さん。
この生徒さんはどんどん文法を習うというよりかは、ある程度学んでもらってから助詞を入れて文の構成とまとめて一気に復習してもらう機会を与えるようにしています。
個人レッスンだからこそ、学習者それぞれの得意なこと不得意なことがよくわかるので、それによって教案を作るようにしています。
生徒さんと1対1ということもあり、それぞれにあった教案を作ることはとても難しいです。
もちろん、教案通りに行くことは少ないくらいです。
ある日、レッスン中に「先生、これは何ですか?」と文法を提示されることもよくあります。
そのようなシチュエーションでも柔軟に対応できる能力は確実に向上したと思います!
海外にいるけど日本語を毎日話せる
意外と大切なこと
そうなんです。これは意外と大事なことです。
私は日本語を教えることが仕事の一つなので、もちろん、毎日のように日本語を話しています。
日本語を話しているからこそ、日本語を話したいという衝動に駆られることもないですし(留学時代よくありました。英語につかれていきなり話したくなるんです)、とても助かっています!
日本語上級者の生徒さんとは本当に友達感覚でお話しできるので、仕事だけど、友達と話しているような感覚です!(もちろん教えますよ!!!!!)
これは海外在住の人なら少しはわかってもらえるような気がします。
私は海外生活5年してきましたが、確かに英語を不自由なく話せるようになっても、「今日は日本語話したいな~」って思うときもあるんです(笑)
日本語教師でよかったと思える理由の一つです。
まとめ
さてさて、ながながと書いてしまいましたが、いいところってなかなかあるもんですね!
この中でも一番よかったなと思えるのが2番目に書いた「視野が広がる」というところです。
今までに2000レッスン以上、600人ほどの人に日本語を個人で教えてきましたが、本当にいろいろなバックグラウンドを持っている人、仕事も多様、考えも多様…
こんな感じで私は毎日日本語を楽しく教えています。
もし、日本語教師に興味のある人や日本語教師になる予定で養成講座を受講中の人でお手伝い必要な方はいつでもご連絡をしてきてください!
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